冬はあたたかく、夏は涼しい、そんな快適なマイホームを実現したい人には、住まいの断熱リフォームがおすすめです。
この記事では、断熱リフォームの種類や費用相場を詳しく紹介します。断熱リフォームによって得られるメリットや、リフォーム時に活用できる補助金制度についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
断熱リフォームとは?
断熱リフォームとは、床や壁に断熱材を入れたり、窓やドアなどの開口部を断熱性の高い商品に変更したりする改修工事のことです。
「冬は寒くて夏は暑い」という住まいは、断熱性が低く、室内の温度が外気温の影響を大きく受けてしまいます。断熱リフォームをすることで、外気温の影響を抑え、冬は温めた空気を逃さず、夏は屋外の熱気が建物内に入ってくるのを防ぎ、快適な住まいづくりが実現できるのです。
断熱リフォームの種類と費用相場
ひとことに「断熱リフォーム」といっても、工事する箇所によって工事内容や費用相場は大きく変わります。まずは、工事個所別に断熱リフォームの内容と費用をチェックしてみましょう。
工事の内容 | 費用相場 |
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窓の断熱リフォーム | 5万円~50万円/1カ所 |
床の断熱リフォーム | 20万円~30万円 (床下からの施工) 80万円~120万円 (床の張り替え時の施工) ※施工面積60㎡の場合 |
天井の断熱リフォーム | 7万円~20万円 (天井裏からの施工) 20万円~35万円 (天井下 (室内) からの施工 ※施工面積60㎡の場合 |
壁の断熱リフォーム | 80万円~120万円 150万円~250万円 (電気設備の脱着を伴う) ※延床面積120㎡の住宅の場合 |
外壁の断熱リフォーム | 100万円~450万円 (外張り断熱) 50万円~70万円 (断熱塗装) ※延床面積120㎡の住宅の場合 |
屋根の断熱リフォーム | 75万円~250万円 (外張り断熱) 35万円~45万円 (断熱塗装) |
窓の断熱リフォームの費用
費用相場 | 5万円~50万円/1カ所 |
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窓の断熱リフォームには、次のような方法があります。
- 内窓 (二重窓・二重サッシ) の設置
- 樹脂サッシへの交換
- 樹脂サッシ+複層ガラスへの交換
- 窓全体を交換
比較的手軽にできる窓の断熱リフォームは「内窓 (二重窓・二重サッシ) の設置」です。既存の窓の内側に新しい窓を設置するだけなので費用も5万円~15万円前後と安く、マンションのリフォームでも対応できる場合があります。
また、断熱性の高さから近年注目されている「樹脂サッシへの交換」は、断熱性とともに気密性も向上します。樹脂サッシへの交換とあわせて、単板ガラスを複層ガラスに交換すれば、さらに断熱性は高まりますが、リフォーム費用は20万円~50万円前後と高くなります。
床の断熱リフォームの費用
費用相場 | 20万円~30万円 (床下からの施工) 80万円~120万円 (床の張り替え時の施工) ※施工面積60㎡の場合 |
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床の断熱リフォームには「床下からの施工」と「床材の張り替え時の施工」の2種類があります。
床下からの施工の場合、既存の床材はそのままに、職人が床下に入り根太 (床板を支える角材) や大引き (根太と直交する角材) の間に、断熱材を施工します。
床材の張り替えと同時に断熱工事を行う場合は、既存の床材を撤去した後に、根太や大引きの間に断熱材を詰めて施工します。床材の解体や撤去、張り替えの作業が発生するため、床下からの施工に比べると費用は高くなります。
天井の断熱リフォームの費用
費用相場 | 7万円~20万円 (天井裏からの施工) 20万円~35万円 (天井下 (室内) からの施工 ※施工面積60㎡の場合 |
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天井の断熱リフォームには「天井裏からの施工」と「天井下 (室内) からの施工」の2種類があります。
天井裏への施工の場合、室内の内装リフォームは伴わず、天井裏に断熱材を直接施工します。それに対して、天井下 (室内) への施工の場合は、一度天井をはがして室内から断熱材を施工します。その後、天井の内装リフォームを行うため、天井裏からの施工よりも費用が高くなる傾向があります。
壁の断熱リフォームの費用
費用相場 | 80万円~120万円 150万円~250万円 (電気設備の脱着を伴う) ※延床面積120㎡の住宅の場合 |
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壁の断熱リフォームは、室内の壁紙や下地を解体して、壁の内部に断熱材を施工する方法が一般的です。一度、室内の壁を解体・撤去するため、比較的大がかりな工事となります。そのため、一般的な戸建て住宅 (延べ床面積120㎡) での施工となると、費用は100万円前後かかります。
また、水廻りの電気設備の着脱を伴う場合は、電気工事士などの資格を有する専門の職人が作業を行う必要があるため、150万円~200万円以上の費用がかかる場合もあります。
外壁の断熱リフォームの費用
費用相場 | 100万円~450万円 (外張り断熱) 50万円~70万円 (断熱塗装) ※延床面積120㎡の住宅の場合 |
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外壁の断熱リフォームには、住宅の外側を断熱材で覆う「外張り断熱」と、外壁材の上から断熱効果のある塗装を行う「断熱塗装」の2種類があります。
外張り断熱は、既存の外壁材を撤去してから、パネル上の断熱材を設置し、再び外壁材を取り付ける工事になります。家の外側での施工なので、住みながらのリフォームが可能です。外張り断熱自体のリフォーム費用は100万円前後ですが、外張り断熱と一緒に外壁の張り替えを行う場合は、350万円~450万円と比較的高額な費用がかかります。
断熱塗装には、断熱効果のある塗料を使用しますが、塗料の種類によって費用が変わります。また、外壁工事の費用には、実際のリフォームに用に加えて、足場を設置する「足場費用」が含まれます。
屋根の断熱リフォームの費用
費用相場 | 75万円~250万円 (外張り断熱) 35万円~45万円 (断熱塗装) |
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屋根の断熱リフォームには、外壁と同じように「外張り断熱」と「断熱塗装」の2種類があります。
外張り断熱で屋根の葺き替えを行う場合は、費用は250万円前後かかります。断熱塗装のみであれば、足場代も含めて50万円以内でおさまるでしょう。
断熱リフォームの効果・メリット
断熱リフォームには「住まいの温度を快適に保つ」という効果が期待できます。さらに断熱リフォームには、住む人の健康を守ったり、家計にうれしい効果なども期待できます。
ここからは、断熱リフォームの効果やメリットについて詳しく見ていきましょう。
快適で安心・安全な住まいづくりができる
断熱リフォームを行うと、住まいの断熱性や気密性が向上するため「冬はあたたかく、夏は涼しい」という快適な暮らしを実現できます。
また、心地よく暮らせるだけではなく、冬場に起こりやすい室内の寒暖差による健康被害「ヒートショック」や、夏場の室内での熱中症の予防にもつながります。
快適で安心して暮らせるマイホームを目指したい人にこそ、断熱リフォームはおすすめです。
光熱費の削減につながる
断熱リフォームによって、室内温度が外気の影響を受けにくくなると、過剰な冷暖房の使用を抑えることができます。また、冷暖房効率もよくなるため、日々の光熱費の節約にもなるでしょう。
実際に環境省の調べによると、内窓を設置した断熱リフォームのシミュレーションでは、年間の冷暖房費が16,670円も安くなるという結果が出ています。
参考:環境省「COOL CHOICE みんなでおうち快適化チャレンジ」
内窓の設置だけではなく、床や壁など住宅そのものの断熱リフォームと組み合わせれば、さらに大きな節約効果が期待できるでしょう。
建物の構造体の劣化を抑えられる
断熱性の低い家は、外気の影響を受けやすいため、内壁の温度が下がり、あたたかい室内の温度との差によって結露が発生しやすいというデメリットがあります。
結露が出やすいと、住宅の構造体にカビが発生し、湿気による腐食や劣化、シロアリ被害が進んでしまう可能性もあるのです。
断熱リフォームによって住まいの断熱性や気密性が向上すれば、結露の発生も抑えられて、湿気による構造体の劣化も抑制できます。つまり断熱リフォームによって、快適で安全、そして長持ちするマイホームが手に入るのです。
断熱リフォームの工期
断熱リフォームの工期は、工事の内容によって異なります。
工事の内容 | 工期の目安 |
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窓の断熱リフォーム | 1~2日 |
床の断熱リフォーム | 床下施工:1~2日 床材張り替え:3~6日 |
天井の断熱リフォーム | 天井裏施工:2~4日 天井下施工:3日~4日 |
壁の断熱リフォーム | 1~2週間 |
外壁の断熱リフォーム | 断熱材の外張り:2週間~1ヶ月 断熱塗装:2週間 |
屋根の断熱リフォーム | 2週間前後 |
断熱リフォームは、工事の内容によっては、工事期間中は部屋が使用できなくなったり、仮住まいを用意する必要が発生したりします。特に床材張り替えを伴う床の断熱リフォーム、工事天井下 (室内) からの断熱リフォーム、壁の断熱リフォームは、工事を行う部屋が使用できなくなります。
また住まい全体の床や天井、壁をリフォームする場合、仮住まいが必要になるケースもあるでしょう。
断熱リフォームを行う際は、住みながらの工事か可能かどうかも、事前にしっかり確認することが大切です。
断熱リフォームで利用できる補助金制度
断熱リフォームは、工事内容によっては100万円を超える費用がかかる場合もあります。そこで知っておきたいのが、リフォームの際に利用できる補助金制度です。
ここからは、断熱リフォームが対象となる補助金制度を紹介します。
先進的窓リノベ事業
先進的窓リノベ事業は、既存住宅における窓の高断熱化の促進を目的としています。対象商品を用いた窓の断熱工事に対して、所定の条件を満たした場合、改修工事費用の一部が補助金として支給されます。
補助金上限は最大200万円、最大でリフォーム費用の1/2相当が還元される注目の補助金制度です。
対象となるリフォーム工事
- 窓ガラスを複層ガラス等へ交換する工事
- 内窓の設置工事
- 外窓の交換工事 (カバー工法・はつり工法)
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業は、2050年のカーボンニュートラルの実現を目的として、子育て世帯・若者夫婦世帯に対して、高い省エネ性能の新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修にかかる費用の一部を補助する事業です。
新築住宅の取得では、対象者は子育て世帯・若者夫婦世帯に限られますが、省エネ改修 (リフォーム) においては、子供の有無や年齢による条件はありません。
補助金上限は、原則1戸あたり30万円 (引上げ条件に該当する場合は最大60万円) です。
対象となる断熱リフォーム工事
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
こどもエコすまい支援事業の対象工事は、断熱リフォーム以外にも「エコ住宅設備の設置」などがあります。
断熱リフォームで失敗しないために信頼できるリフォーム会社に相談しよう
住まいの断熱リフォームは、快適で安心して暮らせるマイホームを実現してくれます。断熱リフォームは窓や床、壁、天井などさまざまな場所で施工できますが、住まいの状態や予算に合わせて適した工事内容を選ぶことが大切です。
断熱リフォームを検討中の方は、まずは実績豊富なリフォーム会社に相談してみることから始めましょう。