戸建てリノベーションの費用はどれくらい?中古住宅で後悔しないためのポイントも紹介!

家全体リフォーム

マイホームを検討中の方から、近年注目されているのが「戸建てリノベーション」です。戸建てリノベーションとは、中古住宅を購入して、リノベーションによりお好みの住まいにつくり替える方法です。

この記事では、戸建てリノベーションの基礎知識や費用相場などを詳しく解説します。戸建てリノベーションで失敗しないために知っておくべき注意点についても紹介しているので、ぜひマイホームづくりの参考にしてください。

そもそもリノベーションとは?

リノベーション(renovation)とは「改修・修復・修理」や「革新・刷新」という意味をもつ言葉です。

住まいづくりにおけるリノベーションは、修復工事によって住宅に「新たな付加価値」をプラスすることを指します。似ている言葉に「リフォーム」がありますが、リフォームは修復工事によって劣化や不具合をもとに戻す意味合いが強くなります。

リノベーションでは、内装や外壁を一新して耐震性やデザイン性を高める工事や、ライフスタイルに合わせた間取り変更・設備の総入れ替えを行います。そのため、リフォームよりも大がかりな工事になるのが一般的です。

内装や外壁を含めて、住まい全体をリノベーションする場合は「フルリノベーション」と呼ばれることもあります。

中古住宅を購入してリノベーションするメリット

近年では、中古住宅を購入して入居前にリノベーションをする方法が注目されています。中古住宅のリノベーションには、以下のようなメリットがあるためです。

  • 注文住宅よりも価格を抑えられる
  • 新築住宅に近い機能性を実現できる
  • ライフスタイルに合わせた間取りを実現できる
  • 立地条件の良いマイホームが手に入る

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

注文住宅よりも価格を抑えられる

ライフスタイルやお好みに合わせたマイホームを建てようと思うと、選択肢としてあがるのが「注文住宅」です。しかし注文住宅は、オーダーメイドで住宅を建てられる反面、大きな費用がかかります。中古住宅のリノベーションであれば、注文住宅よりも費用を抑えて、お好みのマイホームを手に入れることが可能です。

例として、鹿児島県で注文住宅(土地付き)を建てた場合と、中古住宅を購入してリノベーションした場合の費用を比較してみましょう。

注文住宅(土地付き)

  • 建築費:2781.7万円 ※1
  • 土地取得費:778.4万円 ※1
  • 合計:3,560.1円 (約3,560万円)

中古住宅+リノベーション】

  • 物件取得費:1,967.9万円※1
  • リノベーション費:1,000万円※2
  • 合計:2,967.9万円 (約2,970万円)

※1:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査 2021年度集計表より
※2:外壁を残して内部を解体する内部のスケルトンリノベーションを想定した金額

住宅金融支援機構 フラット35利用者調査を元にした例では、土地付きの注文住宅を購入するよりも、中古住宅を購入してリノベーションをするほうが「約590万円安い」という結果になりました。

費用は購入する物件価格やリノベーションの範囲によって変わるものの、上手に物件を選べば、お得な価格でご自身の好みを反映したマイホームを手に入れられるでしょう。

新築住宅に近い機能性を実現できる

中古住宅のリノベーションでは、内装や設備の変更に加えて、外壁を含めた改修工事が可能です。見た目や設備が新築同等になるだけではなく、外壁や躯体の改修によって耐震性や断熱性といった住まいの機能性も新築に近い状態になります。

ライフスタイルに合わせた間取りを実現できる

中古住宅のリノベーションをする場合、家の骨組みだけを残して内部や外壁を解体する「スケルトンリフォーム」を行うケースもあります。

スケルトンリフォームでは、仕切り壁などを撤去して、お好みに合わせた間取りに変更することが可能です。建売住宅や中古住宅の購入だけでは実現が難しい「ライフスタイルに合わせた間取り」を叶えられるのも、戸建てリノベーションの魅力といえます。

立地条件の良いマイホームが手に入る

新たにマイホームを建てるために土地を探すとなると、どうしても市街地や都市部での土地購入は難しくなるでしょう。それに対して中古住宅であれば、条件の良い立地でマイホームを手に入れられる可能性が高まります。

中古住宅の購入で条件の良い立地を確保し、リノベーションでお好みの間取りやデザインに変更することで、望みの場所にこだわりのマイホームを建てることができるため、中古住宅のリノベーションは注目されているのです。

戸建てリノベーションの工事内容と費用相場

さまざまなメリットがある戸建てリノベーションですが、実際にはどのような工事を行い、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?

中古住宅の戸建てリノベーションには、大きく分けて次の3つのパターンがあります。

  • 表層リノベーション:500~800万円前後
  • 内部のスケルトンリノベーション:1,000~1,500万円前後
  • 外壁を含めたスケルトンリノベーション:2,000万円前後

※費用は建築面積25~30坪の戸建てを想定。

それぞれの工事内容と費用相場について詳しく解説します。

表層リノベーション

表層リノベーションの費用相場は、500~800万円前後。

表層リノベーションとは、住宅の内部や外壁の解体は行わず、表層部分のみつくり替える方法です。主な工事内容は以下のとおりです。

  • 水回り設備の交換
  • 壁紙の張り替え
  • 床材の張り替え
  • 屋根、外壁塗装

内装の改修を中心に設備の入れ替え、外壁・屋根の塗装を行うため見た目が一新されます。見た目のデザインも変更できるので、お好みの雰囲気につくり替えることが可能です。ただし、間取りの変更や耐震性の大幅な向上はできません。

内部のスケルトンリノベーション

内部のスケルトンリノベーションの費用相場は、1,000~1,500万円前後。

内部のスケルトンリノベーションとは、外壁と構造躯体を残して、住宅内部を全て解体する工事のことです。

室内の仕切り壁も撤去するため間取りの変更が可能です。また、室内の壁も解体するので、リノベーションの際に断熱材を補充して断熱性を高めることもできます。ただし外壁を残しているので、窓の位置を変更するのは難しいでしょう。

外壁を含めたスケルトンリノベーション

外壁を含めたスケルトンリノベーションの費用相場は、2,000万円前後。

外壁を含めたスケルトンリノベーションでは、住宅内部の解体に加えて、外壁も解体していきます。残るのは住宅を支えている土台や柱、梁などの主要構造体のみです。

このタイプのリノベーションでは間取り変更はもちろん、外壁の改修工事や基礎の補強工事が可能になるため、住宅の耐震性能を高めることが可能です。

住宅の内外全てを解体するので「フルリノベーション」とも呼ばれています。

【築年数別】戸建てのリノベーションの内容

戸建てのリノベーションは、購入する中古住宅の状態によっても工事の内容が変わります。ここからは、築年数別に戸建てリノベーションの内容を見ていきましょう。

※解説内の費用相場の目安は、建築面積25~30坪の戸建てを想定しています。

築15年未満の戸建てリノベーション

築15年未満の戸建てリノベーションの費用相場は、500~800万円前後。

築15年未満の中古住宅を購入しリノベーションするのであれば、住まいの見た目を一新できる「表層リノベーション」がおすすめです。

住宅の水回り設備は、10年前後を目安に交換するのが適しています。また壁紙や床材の交換、外壁のメンテナンスも築10~15年がひとつの区切りとなります。

ただし、築15年未満であれば家の躯体自体には大きな劣化が少ないと考えられます。スケルトンリノベーションをするよりも表層リノベーションにとどめておくほうが、費用的にもメリットが大きいといえるでしょう。

また、築15年未満の中古住宅は、中古物件の中でも比較的価格が高くなる可能性があります。物件価格とリノベーション費用のバランスを考慮して工事内容を検討しましょう。

築15~40年未満の戸建てリノベーション

築15~40年未満の戸建てリノベーションの費用相場は、500~1,500万円。

築15~40年未満の中古住宅になると、住宅の状態によってリノベーション工事の内容は変わります。

適切なメンテナンスが行われてきた物件で「躯体には大きな劣化がなく、内装や設備の劣化のみ気になる」という場合であれば、表層リノベーションだけでも十分な可能性があります。しかし、間取りの使い勝手が悪かったり断熱性が低かったりする場合は、内部スケルトンリフォームでつくり替えるケースも少なくありません。

ただし表層リノベーションの費用相場は500~800万円前後、内部スケルトンリノベーションになると1,000~1,500万円が費用相場となります。工事の内容によって、費用が1,000万円近く変わることもあるため、中古住宅を購入する段階からリノベーション工事の内容をしっかり検討しておきましょう。

築40年以上の戸建てリノベーション

築40年以上の戸建てリノベーションの費用相場は、2,000万円前後。

築40年以上の戸建て住宅は、物件価格が抑えられることが魅力ですが、注意しなければいけないのは「耐震性」です。

建物は建築基準法で定められた「耐震基準」に従って建築されています。しかし1981年(昭和56年)よりも前に建てられた住宅には、以前の基準である「旧耐震基準」が適用されている可能性があります。

そのため、1981年以前に建てられた築40年以上の中古住宅は、耐震性能の見直しが必要です。リノベーションをする際は、耐震性の向上が可能となる外壁も含めたスケルトンリノベーションを行うケースも多いでしょう。

外壁から解体するスケルトンリノベーションは費用も2,000万円前後になるため、築年数を重ねた中古住宅の購入は慎重に検討することが重要です。

戸建てリノベーションで後悔しないための注意点

メリットの多い戸建てのリノベーションですが、中には中古住宅を購入後に「こんなはずではなかった!」と後悔してしまうケースもあります。

戸建てリノベーションで失敗しないためにも、ここからは事前に知っておくべき注意点について解説します。

築年数だけで判断せず劣化状況は必ず確認する

前述したとおり、戸建てリノベーションは築年数によって工事の内容や費用が大きく変動します。しかし、住宅の状態は築年数だけではなく、日ごろのメンテナンスによっても変わります。

築年数だけで判断せず、専門家による「ホームインスペクション(住宅診断)」などを活用して、住宅の劣化状態を把握しておくことが大切です。

ホームインスペクションとは、専門的な知識を有する住宅診断士が、第三者的な立場で物件状態を診断する検査のことです。ホームインスペクションでは、目視を中心に屋根や外壁、室内、床下などの劣化状況の確認、欠陥の有無、修繕が必要な個所の特定を行います。

ホームインスペクションを行うと10万円前後の費用が発生しますが、安心して暮らせるマイホームを手に入れるためにも、ぜひ検討してみましょう。

2×4工法の戸建ては間取り変更に制限あり

戸建てリノベーションの魅力のひとつは「ライフスタイルに合わせた間取り変更」にあります。しかし、購入を検討している中古住宅が「2×4工法」で建てられている場合は注意が必要です。

2×4工法の住宅は、構造を壁で支えているため、壁を取り壊して間取りを自由に変更することが難しいケースも少なくありません。間取りを大きく変更したい場合は、柱や梁で構造を支えている「木造在来工法」の中古住宅が適しています。

住宅ローンを組むなら「再建築不可物件」に注意する

「再建築不可物件」とは、一度建物を壊してしまうと、新たな建物を建築できなくなってしまう物件のことです。ただし家を取り壊さずにつくり替える「リノベーション」であれば、一定の範囲内での改修が可能になります。

再建築不可物件で可能なリノベーションの範囲

  • 表層リノベーション
  • 柱と梁を残したスケルトンリノベーション
  • 柱と梁の交換はそれぞれ1/2まで
  • 防火地域・準防火地域でなければ10㎡以下までの増築

上記のようなリノベーションは可能ですが「建物の敷地内での移転」「屋根の高さの変更」などはできない点に注意しましょう。

また、再建築不可物件の購入では、住宅ローンの審査が通らずローンを組めない可能性があります。再建築不可物件は「担保としての価値が低い」と捉えられるためです。

戸建てリノベーションにはまとまった費用が必要になります。自己資金だけではなく住宅ローンの利用を検討している場合は、再建築不可物件の購入は慎重に検討しましょう。

物件購入から入居まで時間がかかる

中古住宅を購入してそのまま入居する場合は、物件の申し込みから入居までの期間は一般的に「1~2ヶ月」が目安です。しかしリノベーションを行う場合は、さらに工事期間が追加されるため、物件購入から入居までの期間が長くなります。

リノベーション工事の内容にもよりますが、物件購入から入居までの期間は「4~6ヶ月」が目安になります。お子さんの入学や仕事の都合などで引っ越しのタイミングが決まっている方は、余裕を持ったスケジュールで物件選びを始めましょう。

戸建てリノベーションで失敗しないために信頼できるリフォーム会社に相談しよう

戸建てリノベーションには「注文住宅よりも費用を抑えられる」「好立地のマイホームを手に入れられる」「内装や間取りを自分好みにつくり替えられる」といったメリットがあります。ただし、リノベーションの内容によって費用が大きく変わるため、物件選びの段階から工事内容を検討しておくのがおすすめです。

戸建てリノベーションをお考えの方は、まずはリノベーション実績が豊富な会社に相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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